「ふー、ごちそうさまでした」

 とても満足そうな面持ちで志貴は食事の終了の
 合図である言葉を口にして箸を置いた。
 なんともいえない至福の時間を堪能していると

「志貴も食べ終わったみたいだし帰りましょうか。」

 との啓子さんのお言葉により家に帰ることに。
 文臣さんが会計を済ましているときにふと
 上を見上げるとそこには、

「せんせ…い?」

 赤い髪のきれいな女性が満面の笑みで写っている写真があった。

「あら、志貴知り合いでもいたの?」
「い、いえ、見間違いのようです」

 学校の先生でもない人のことを説明するのは面倒くさいし
 なにより先生のことを他人に話したくなかったのでその場では
 お茶をにごしてごまかしておいた。

 そうこうしているうちに会計が済んだのか文臣さんが
 薄荷の飴を片手に歩いてきた。

「さあ、帰るか」

 その言葉にみんなは車に向かって歩き始めた。
 その時ゾクッとするものを志貴は確かに感じた
 
(なんだ?)

 それが何かはわからなかったがとりあえず振り返ってみると
 青いショートの髪でメガネを片手にもった女の人がこちら……
 正確には志貴を見て……いや、睨んでいた。
 
(俺、なんかしたっけな?)

 睨まれるようなことをした覚えがない志貴はしきりに首をかしげるが
 事実、志貴とその女性はこの時が初対面なので志貴がいくら考えた所で
 原因がわかるはずもなかった。
 
「志貴、おいていくわよ」
「あ、すみません」

 ずいぶんと考え込んでいたらしく志貴以外のみんなは
 すでに車の所にたどり着いていた。
 女性のことは後で考えることにしてとりあえず車に向けて走った。 

 
 この出会いが後にどんな結果をもたらすかなど神ならぬ志貴には知る由もなかった。
 
 
 interlude out 
 
 
 
 
 
 interlude



 久しぶりに来ていた大帝都で思わぬものを見かけてしまった。
 なにげなしに見た先でうちの探し物にかけては異常な能力を持っている
 所員に似た少年がレジの上方をみて呆然としていた。
  
(あそこにはたしかあのバカの写真があったはず……)

 いつぞやの大会で何の気まぐれかあれと
 平和的な方法で対決したときのものだ。
 考えただけでもムカムカしてきたが、その少年が
 その写真を見てせんせいとつぶやいたのが見えた。

「あれが先生だと? はっ、世も末だな」

 そんなことを考えている時あるものに気づいてしまった。

(あのメガネはあのバカに奪われたもののはず、なぜあの小僧がもっている?
 まて、先生だと? つまりあの小僧は、あのバカと会ったことがあるということか)
 
 いつのまにかメガネをはずしその少年を
(本人としては見ていただけかもしれないが)睨みつけていた。
 その視線に気づいたのかびっくりしたようにその少年はこちらを振り返り目が合った。
 
 なにやら首をかしげていたが家族に呼ばれたのか走っていってしまった。
 
「あのメガネをしているということはなんらかの魔眼持ちか
 名前はシキといっていたか、うちの式といいシキという名前
 にはにかあるのかね? あとで、黒桐に探させるか」
 
 
 こうして、志貴の運命は自分の与り知らぬところで大きくうねり出していた。
 

 
 interlude out















 あとがき
 なんとか生きてます。
 ずいぶんとあけてしまいました
 しかも短い……orz
 次回は……がんばります。




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